カブの魅力はさわやかな甘味と、クリーミーとも言える緻密な食感。サラダや漬物、煮物に炒め物と何にでも使える万能野菜です。
栄養はビタミンや食物繊維が豊富ですが、根よりも葉の部分に多く栄養が集まっています。自家栽培のカブなら、葉も新鮮なうちにいただけますよ。
今回は、そんなカブの種まき〜収穫までの育て方と栽培時期や害虫・病気の対策をご紹介していきますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
Contents
カブの育成条件と栽培時期
カブの栽培時期
種まき | 生育 | 収穫 | |
寒冷地・冷涼地 | 5月上旬~8月下旬 | 種まきから40日前後 | 種まきから40日以降~60日くらい |
一般地(秋まき) | 7月下旬~9月中旬 | 種まきから40日前後 | 種まきから40日以降~60日くらい |
暖地(秋まき) | 8月上旬~9月下旬 | 種まきから40日前後 | 種まきから40日以降~60日くらい |
- 日当り:日なた
- 土壌酸度:中酸性~中性
- 植え付け: 小カブ:約10cm 中カブ:約15~20cm 大カブ:約30~40cm
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カブの土作り
カブは苗植えでは育てられませんので、畑やプランターに直接タネをまいて栽培します。まずは土作りからはじめましょう。
カブを栽培する土には養分と保水性、通気性が求められます。また、小石や塊状の土が残っていると玉の形がゆがんでしまう原因になるので、よく耕しておくのもポイントとなります。
栽培する場所が決まったら、タネをまく2週間以上前には堆肥と苦土石灰を入れて耕します。さらに1週間前には化成肥料を土に混ぜ込み、畝立てしておきます。化成肥料は10㎡あたり1~1.5㎏ほど必要となります。
- チッソ:330g~500g
- リン酸:330g~500g
- カリ:330g~500g
畝づくりと種まき
どのサイズのカブを育てるかによりますが、畝は幅約70~80cm、高さは10cmほどのものを作っておきます。
マルチシートはかけなくとも良いですが、秋の遅い時期にタネをまく場合は地温をあげるために黒マルチをかけたほうが良いでしょう。その場合は育てるカブのサイズにしたがって株間をとり、マルチに穴を空けておきます。
また、間引きや追肥のタイミング管理は難しくなりますが、タネまきの時期をずらすことで長期にわたって収穫を楽しむこともできます。
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点まき
タネをまく場所が決まったら、空き缶などで深さ5mm~1cmほどの穴を開け、そこにタネを4、5粒まいて上から土を軽くかけます。タネが流れないように板などで軽く上から押さえておくと良いでしょう。
そのあとはたっぷりと水やりしますが、覆っている土が少ないのでジョウロのはす口を上に向け、優しく水をかけてください。点まきですと育てる途中で間引き(後述)をする手間がいくらか楽になります。
条(すじ)まき
カブの場合、条まきにすると競い合って根を伸ばすので比較的生育がよくなります。条まきの場合はあらかじめ取っておいた株間にあわせて、5mm~1cmほどの溝をつけます。支柱や木の棒などを使うとまっすぐに溝をつけられるので、利用してみるといいでしょう。
溝ができたらその中にタネを1cm間隔でまいていき、上から軽く土をかけます。あとは点まき同様上から軽くおさえ、そのあとにたっぷり水をあげてください。
ちなみにマルチシートを敷いている場合でも、シートをしっかり土で抑えて、切り開くように穴を開ければ条まきで育てることができます。完全に切ってしまわないよう気をつけましょう。
防虫ネットがけ
カブの葉には栄養が多くあつまっているため、鳥や虫に狙われます。葉がやられてしまうとカブの成長は期待できませんので、芽が小さいうちから対策をしておく必要があります。
基本的にはトンネル支柱を立て、防虫ネットで覆うのが最もシンプルで効果的です。晩秋の寒い時期には寒冷紗で代用してもいいでしょう。
間引き
カブは生長にあわせて数回間引きをします。まず子葉が開き、本葉が1枚出てきたところで1回目の間引きです。次に本葉2~3枚で2回目、本葉5~6枚となったころに最後の間引きをして、最終的な株間にあわせます。
もし葉に変色が見られたり、他の株と比べて生長が明らかに遅い株があった場合、そちらを優先して間引きます。
カブのサイズによって残し方が異なるので、下の表を目安にしてください。
間引き1回目 | 間引き2回目 | 間引き3回目 | |
小カブ | 2~3cm間隔 | 4~6cm間隔 | 約10cm間隔 |
中カブ | 3~5cm間隔 | 6~10cm間隔 | 15~20cm間隔 |
大カブ | 5~10cm間隔 | 15~20cm間隔 | 30~40cm間隔 |
また、間引きの際は残すほうの根をいためないように、小さい時期ほどそーっと丁寧に間引くようにしてください。間引く苗の葉をハサミで根元から落してしまってもOKです。
ちなみに間引いたカブはみそ汁の具などとして、おいしく食べられますよ。
カブの栽培管理
水やり
カブは種をまいた後、発芽するまでは土が乾燥しないように水やりをします。芽がでるまでに水分が不足すると発芽率が落ちるので、気をつけてください。
芽が出た後は土の表面が乾いたときに水やりをしてください。ただしカブは湿度が高い状態は苦手ですので、日中の暖かい時間に水をあげると良いでしょう。
また、根が太くなり始める時期に水が不足すると玉が割れる原因となりますので、根が大きくなってきた時期には多めに水をあげてください。
追肥(おいごえ)
カブは肥料を好む野菜です。小カブは土作りのときに混ぜ込んだ元肥(もとごえ)だけで育てますが、中カブ、大カブは生長にあわせて追肥をすることでしっかり根を太らせましょう。
追肥は2回行いますが、1回目の追肥は2回目の間引きのときに、2回目の追肥は最後の間引きのときに行えばOKです。覚えやすいだけに、タイミングを失わないようしっかり観察しましょう。
追肥に使う化成肥料は1㎡あたり20gを目安に、株周辺にパラパラとまいてあげます。その後、除草をかねて軽く周辺の土を返してあげ(中耕)、株元に土寄せしてあげましょう。
※プランターなどで育てているばあい、1株あたり3~5gぐらいが目安
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カブの収穫時期と収穫方法
カブの収穫時期
カブは種まきから収穫までの期間が短く、小カブなら早くて40日程度で収穫できます。
中~大型のカブを栽培している場合は、品種によっても違いますが60日前後が収穫の目安です。
収穫のタイミングをはかるには、カブの根元の土をよけてみて、しっかりとした球状になっていたら収穫できます。
品種ごとに収穫の目安となるサイズ(直径)もタネ袋に書いてありますので、実際に大きさを測ってみてもいいでしょう。小カブであれば大体5~6cmといったところです。
カブの収穫方法
収穫するときは、葉の根元をつかんで引き抜けば簡単に収穫できます。
大きいものから順番に収穫していきますが、取り遅れるとスが入ったりひび割れを起こしたりするので、早めの収穫を心がけてください。多少早取りしてもおいしく食べられます。
また、すぐに食べない場合は葉を根元から切り落としておきましょう。そうしないと、栄養豊富な葉の部分が黄色く変色してしまいます。
カブがかかりやすい病気:根こぶ病
根にこぶが出来ることで枯れてしまったり、生長が止まってしまう病気です。
日中には葉がしおれ、朝夕には回復するという症状が特徴です。
予防方法
原因は土の中の病原菌。水はけの悪いと発生しやいので、水はけと通気性のいい土作りを行いましょう。酸性の土壌も良くないので、石灰による中和も十分にしておきます。
対策方法
発生してしまった場合、病気にかかった苗はきれいに引き抜いて捨てるしかありません。また、連作障害として発生しやすいため、アブラナ科の作物を1年以内に栽培した場所で育てるのは避けましょう。
農薬を使う場合は、土壌殺菌剤「石原フロンサイド粉剤」などを、タネまきの前にまいておくことで土の消毒ができ、発病の予防になります。
カブを狙う害虫:カブラハバチ
カブラハバチは卵を葉に産みつけ、幼虫がやわらかい葉を食害してしまいます。
別名はナノクロムシとも呼ばれ、幼虫は灰色~は青みを帯びた黒色をしています。大きくなると12~18㎜ほどです。
対策方法
まず虫を近づけないよう、虫除けネットで覆うことが第一です。もし発生しているのをみつけたら即駆除します。その際、地面に落ちると土の色と見分けがつきにくいので注意しましょう。
もし農薬を用いるばあいは「マラソン乳剤」が効果的です。使いやすく、広範囲に散布でき様々な害虫に効果があります。
おわりに
お読みいただいたとおり、カブの栽培では管理しなければならないことも多いです。
ですが間引きと追肥のタイミングさえ分かれば育てるのは比較的簡単な部類ですので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
根も葉もおいしく食べられて成長が早く、しかも色々な料理に使えるので家計にも優しい!とっても優秀な野菜ですよ。