その苦さゆえ、好き嫌いがハッキリ分かれるゴーヤは、「ゴーヤチャンプルー」なとで使われる事からお察しの通り熱帯原産のウリ科の植物です。
ちなみに沖縄出身の友人たちの中にも、ゴーヤは見るのも嫌なくらい苦手だと言う人も決して少なくありませんから、沖縄の人なら誰もが好んで食べているソウルフードと言う事でもないようです。
今回は、ゴーヤの種まき〜収穫までの育て方、栽培時期や病気・害虫の対策などについてご紹介していこうと思います。
Contents
ゴーヤの種類について
学問上の正式な和名は「ツルレイシ」で、また、かつては主に「ニガウリ」と言う呼び名で流通していましたが、近年では、沖縄方言による呼び方である「ゴーヤ」や「ゴーヤー」の方がすっかりポピュラーになっているのも「ゴーヤチャンプルー」効果なのでしょうか?これも面白いところですね。
そんなゴーヤにも色々な品種がありまして、沖縄在来ゴーヤーの代表品種の「中長ゴーヤ」、中長ゴーヤほど苦味が強くない「あばしゴーヤ」など、色や形や食味もバリエーションに富んでいます。
- 中長ゴーヤ:沖縄在来ゴーヤーの代表品種
- あばしゴーヤ:中長ゴーヤほど苦味が強くない品種
- さつま大長れいし:果長が約35cmにもなる苦味が強い品種
- 白ゴーヤ:比較的苦みが少なく白色の品種
- アップルゴーヤ:巧く育てれば1000g超えも夢じゃない丸型の品種
- 節成りゴーヤ:実が多い品種
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ゴーヤの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
土壌酸度:中性〜弱酸性
株間:100cm〜150cm
収穫時期:7月〜10月
ゴーヤのタネまき・育苗
前述した通りゴーヤは熱帯原産なので、28〜30℃の発芽温度を必要とします。露地でそれだけの温度をタネまきの時期に確保するのは、かなり温暖な土地以外では難しいので、ポットに蒔いてハウスなどを用いて保温する事が必須となります。
また、種皮が硬く厚い硬実種子なので、タネの先端をニッパーや爪切りなどで少しカットするか、ヤスリで削るかしてぬるま湯に一昼夜浸しておくのが、発芽を成功させるためのテクニックです。
ポットは大きめの9cmの物を用い、3粒まきとします。培土は市販のタネまき用の物を用いれば問題ありません。発芽後の育苗管理は、日中は28〜30℃、夜間も18℃以上を保てるような管理が必要となります。
幼苗段階では特に徒長しやすいため、水のやり過ぎに注意し、土の表面が乾いたら午前中にタップリと潅水する事で、ガッチリとした丈夫な苗を育てるように心がけます。本葉2枚の段階で間引いて1本にします。育苗日数30日程度、本葉3.5枚程度が定植時期の目安となります。
と、こんな感じで、発芽〜育苗の期間は温度管理などに、結構、手間がかかりますし、前記の通り「株間:100cm〜150cm」が必要なので、庭先やプランターでちょっと楽しもうという場合には、タネから育てるのではなく、園芸店などで苗を購入する事を検討した方がコスト的にも良いかも知れません。
ゴーヤの植えつけ場所の準備
日当たりのよい場所で育てます。地植えの場合は、一般的な植物栽培と同様に、4週間程度前に堆肥と苦土石灰を施し土壌pHを調整しておきます。堆肥は1平方メートル当たり2kg程度が適量でしょう。ゴーヤは高く長く育ちますので、根張りを考えて特に深く耕すようにして下さい。
植えつけ2週間程度前に、1平方メートル当たり150〜200gの化成肥料を全層施肥しますプランターの場合は、深めで支柱穴つきの野菜用プランターを用意して下さい。(この支柱穴を誘引の際に利用しようと言う目論見です。)
培土は市販の野菜用培養土で結構です。
ゴーヤの植えつけ
植えつけ場所の準備が整った段階で、植えつけ作業を行いますが、気温は15℃以上(できれば18℃程度)は確保したいところです。作業は活着を促すため、晴天の午前中に行うようにします。
大きめの植え穴を開けて、根鉢を崩さないように注意して植えつけて下さい。特に冷涼地の場合などは、黒色マルチで地温を上げ、ホットキャップや小型トンネルなどを用いて、保温と活着の促進を図りましょう。
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ゴーヤの摘芯と誘引
活着後、本葉5〜6枚程度の段階で、親づるを摘芯して子づる4〜5本を伸ばすようにします。主枝には雌花が多く出ないので、そうすることによって収量が多いバランスの良い株になります。また、子づるに関しても力強い物を残して整理する事で、孫づるの発生を促すようにします。
地這栽培を行うと果実が痛むため、立体栽培のための誘引を行います。誘引は、藤やぶどうのような棚を使うのか?グリーンカーテン状にしたいのか?ゴーヤの収量を優先したいのか?などの目的によって、若干異なってきます。
例えば、一番シンプルなのが支柱とキュウリネットを組み合わせて誘引する方法です。株の両脇1m程度の位置に、高さ1.5〜1.8m程度の竹や鋼管支柱などをしっかりと打ち込み、張りひもをネットの両端の網目に通して、網地がねじれないように支柱に固定します。
なお、最盛期には、果実と茎を合わせた重量がかなり大きくなるため、支柱の倒壊を防ぐ目的で、適宜、支柱を増やしたり支柱の補助を行うようにして下さい。
家庭のプランターでの育て方とグリーンカーテン
近年、ゴーヤを使ってグリーンカーテンを作るのが流行っていますが、よほど頑丈な2階ベランダなどへネットで誘引する方法でない限りはオススメしません。前述の通り、最盛期にはかなりの重量になり、また、その時期が台風シーズンと重なるため、風にあおられたグリーンカーテンによる建物へのダメージや、果実そのものが当たって建物を損傷することがあるためです。
1階の窓との距離が充分に確保できない場合は、ゴーヤを使ってのグリーンカーテンは諦めたほうが賢明です。(大きな実のならない植物で検討しましょう。)
お手軽に雨樋の支えを使ってネットを垂らしたりするのは論外です。もし、ゴーヤを使ってのグリーンカーテンが設置可能な環境であれば、廃棄時にまとめて燃えるゴミに出せる「麻ひもネット」や動画で紹介されている「ゴーヤのカーテンセット」などを利用すると良いでしょう。
ゴーヤの水やり
ゴーヤは高温や乾燥には強い植物なので、特に潅水に神経質になる必要はありません。
日頃は乾いたらタップリとやる感じで良いでしょう。
ただし、収穫最盛期の水涸れは生育不良に直結し、果実の肥大が悪くなったり曲がり果が多く発生するようになるので、多少、気にかけてやって下さい。
ゴーヤの肥料と追肥
植えつけ2週間後から、週1ペースで薄めの液体肥料を水やり代わりに施しておけば良いでしょう。
追肥は1番果の収穫頃から始めます。2週間毎に窒素成分換算で1平方メートル辺り2〜3g程度の速効性肥料を与えて潅水します。
ゴーヤの病気と害虫
低温時の苗立枯病を除けば、特に気をつけなければならない病害虫はありません。
アブラムシ、アザミウマ、コナジラミ、ハダニ、ヨトウムシなどが発生することがありますが、手に負えない程の状態になることはまずありません。
適宜、薬剤を用いた一般的な対策で対処して下さい。
ゴーヤの開花と収穫
ゴーヤは雄花と雌花が別なので虫による交配がなければ着果しません。例えば、ハウス内や高層階のベランダなどで栽培を行う際には人工交配が必要となりますが、通常の条件で栽培する場合には特に気にする必要はありません。
開花から15〜20日程度を経て、果実の成長が止まった頃が収穫適期となります。若摘みする分には多少早くても食味的には問題はないので、黄色っぽく色づき始める前に収穫するようにします。
なお、収穫し損ねて黄色〜橙色に完熟した果実は、やがて果皮が破れて中から赤い種衣に包まれたタネが出てきますが、この破れる直前まで熟した段階の赤い種衣が甘くてちょっと美味しいので、チャンスがあったら試してみて下さいね。
ただし、収穫最盛期には果実が次々に実り、収穫が間に合わなくなる事があります。特にグリーンカーテンに仕立てた場合は、放っておくと、割れた果実が頭上から落ちて来たり外壁を汚したりと大変なので、黄色くなり始めたら食べなくても収穫しましょう。
おわりに
ゴーヤは低温時の幼苗管理だけ気をつければ、後はあまり手のかからないし、死角なしのように見えますが、実は連作障害が発生します。無難に植物栽培を楽しむためには、来年は違う品種にチャレンジしましょう。
ちなみに、ウリ科なので他のウリ科の植物(スイカ、カボチャ、キュウリなど)にも影響します。「連作を避けて来年はキュウリにチャレンジだ!」なんてことを考えちゃダメですよ…。
以上、ゴーヤの育て方をまとめてみました。