冬のおでんに欠かせないことから、冬野菜のイメージが強いダイコンですが、厳冬期を除きほぼ通年栽培できるように品種改良が進んでいます。
特にサラダとしての需要は目覚ましく、100g当たりのカロリーは18kcal と驚くほど低カロリーです。根は90%が水分でできており、利尿作用があるカリウムが多く含まれています。それにより腎臓の働きを助け、むくみの解消にもつながります。
さらに肝臓をサポートし、デトックス効果をアップさせる働きも期待できます。とくに葉の部分には、ビタミンC、葉酸、ビタミンB6がたっぷり含まれています。
間引き菜を楽しめるのは、家庭菜園ならでは。今回はダイコンの栽培についてお話ししていきたいと思いますので、みなさんもぜひお試しください。
Contents
ダイコンの栽培期間
近年品種改良によって、ほぼ通年収穫できるようになってきました。今回は代表的な春まきと秋まきの例を挙げて説明します。
種によって異なるので、詳しくは種の袋の後ろにある表で確認してから購入するようにしましょう。
- 冷涼地:種まき4月上旬~6月末 → 収穫期6月上旬~8月末
- 中間地:種まき3月半ば~5月半ば → 収穫期5月半ば~7月末
- 暖地:種まき2月末~5月半ば → 収穫期4月末~7月末
- 冷涼地:種まき7月上旬~8月半ば → 収穫期9月上旬~9月末
- 中間地:種まき8月半ば~9月半ば → 収穫期12月~1月末
- 暖地:種まき8月半ば~9月末 → 収穫期12月末~2月頭
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ダイコンの品種
『夏の守(なつのかみ)』
夏の暑さや台風による多湿に強い夏まき秋どりの青首ダイコン。葉に発症する病気にかかりづらく、順調に根部が太ります。
収穫適期になると、根長は約35センチになり、肉質は緻密です。みぞれ煮などに向きます。
おでん大根
その名の通り、おでんのために育種されたダイコンです。出汁が染みやすく、かつ煮崩れしにくいため、じっくりことこと煮込めます。
冷涼地は7月上旬から種まきし9月上旬ごろより順次収穫。中間地と暖地では9月上旬から種まきし、11月半ばごろより収穫となります。
かわいい大根
きめ細やかな肉質のダイコンです。種まきから約45日で長さ15センチに育ちます。
手軽で、使い切りできるのが魅力です。
また冷涼地~暖地にかけ、双方ともに春まきと秋まきに対応しています。春まきの余った種は秋まきに使えるので、小さな菜園を営まれている方におすすめです。
ダイコンの栽培管理
ダイコンの連作は避けるべき?
ダイコンは比較的連作障害が出にくい野菜だといわれています。一部では連作を続けるとダイコンに適した土壌に変化し、甘みが増すという説がありますが定かではありません。
水はけ条件や、石の混在が少ない場所に畝を立てるとなると、場所に限りがでてしまう場合も。その場合は連絡を2~3年で留め、ほかの場所に適した畝を作れるよう、根本から改良してみてはいかがでしょうか?
またダイコンと同じアブラナ科に属するキャベツ、カリフラワー、ブロッコリーを植えた場合も、同じく連作障害が出る可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
土づくり
種まきの2週間前に苦土石灰100g/㎡と堆肥2㎏、化成肥料(窒素・リン酸・カリ=8:8:8)を150ℊ/㎡を全面に施し、よく耕します。
ダイコンは深く伸び、土を押し広げて成長します。栽培する土の性質がダイコンの質を大きく変えると言っても過言ではありません。昔から『大根十耕』と言われ、最初の土づくりが決め手とされています。
ふかふかの土にするために堆肥をすき込んだ際、残った堆肥の塊にダイコンの根が触れると又根になってしまうことも。かならず完熟のものを使用し、養分の偏りが出ないよう丁寧に耕しましょう。
また耕しながら、前に植わっていた作物の根や、小石など、障害になりそうなものを取り除きましょう。
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畝と種まき
幅90センチ~100センチの畝を作り、頂点を平らに均します。板などで畝の左右に、深さ1センチ程度の溝を作り、二条植えにします。
種は千鳥まき(二条のまき位置がずれる)にして、30センチ間隔で1カ所につき5〜6粒まきます。
播種後に強い雨が畝を叩くと、土が固まって発芽しないことがあります。発芽まで不織布やワラなどで覆うと発芽率が上がります。
ダイコンを自宅で消費する場合は、種をまく日を数日ずつずらしながらまくことで、収穫適期を調整することができます。
センチュウ対策
センチュウ(線虫)というと、聞き馴染みがないかもしれません。回虫や蟯虫の仲間で、糸状・ひも状の身体をしており、土中に住むものや動植物に寄生するものなど、さまざまなセンチュウがいます。そのうち作物に寄生し悪影響を及ぼす種もあります。
ネコブセンチュウが寄生すると、作物の根の細胞組織が肥大化し、コブ状になります。
根はやがて腐敗し、作物は枯死してしまいます。
また、ネグサレセンチュウが寄生した場合、約2㎜の褐色もしくは黒褐色の小さな斑点が生じます。徐々に病斑が根全体に広がり、やがて病斑部が陥没します。末期には腐敗し、ほかの病原菌が侵入。作物を枯らしてしまいます。
その対策として畝を作るとき、少しゆとりがありましたら、マリーゴールドの混植をおすすめします。ネグサレセンチュウとネコブセンチュウはマリーゴールドを好み、根に侵入します。その後作物に向かうことなく、マリーゴールドの根の中で死滅します。
効果の詳細については諸説ありますが、マリーゴールドは緑肥としても活用可能で、すき込んでからもセンチュウに対して効果を持続します。
マルチを貼ったほうがいい?
マルチで覆ったほうが除草の手間を省けます。また害虫対策としても夏場はとくに銀色マルチがおすすめです。アブラムシの寄生が抑えられるため、ウィルス感染のリスクも減少します。
地温と水分の安定にも有効です。高く盛った畝が崩れないよう、幅が広いマルチでしっかり覆いましょう。
間引き
1回目の間引きは双葉の段階で行います。チェックポイントは5点あります。
- 黄緑色でひょろひょろと痩せていないか
- 葉の形がちぐはぐではないか、
- 虫食いはないか
- 葉に種の殻がくっついていないか
- 双葉は畝に対して平行に開いているか
ダイコンのヒゲである側根も双葉と同じ向きに伸びるため、双葉が畝に対して平行に開いていると、畝の端で詰まることなく養分を吸収できます。
2回目の間引きは本葉が4~5枚の段階で行います。
葉が上に向かって立っている、勢いのある株で、葉の色が淡い緑色のものを残しましょう。
追肥と土寄せ
追肥は間引きとセットで行います。2条まきにしている畝の中央に溝を掘り、50g~60ℊ/㎡程度、有機配合肥料を施します。なるべく薄く施肥しましょう。塊ができてしまうと、股根の原因につながります。
また溝を埋め戻す際、間引きで不安定になったダイコンの株元に土寄せをし、まっすぐ立たせます。葉に土が被らないよう注意しましょう。とくに葉の中心部が土に埋もれると、著しく成長が遅れます。
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ダイコンの害虫
アブラムシ
米粒よりも小さく、赤や黄緑など色はさまざま。葉裏などにくっついて汁を吸います。繁殖力が高く、発見時には群れになっていることも。ウィルスや細菌を媒介するため確実に除去しましょう。
ガムテープを手のひらに巻き、粘着面をアブラムシに押し付けると、まとめて捕殺できるので便利です。
テントウムシはアブラムシを好んで食す肉食の虫です。見かけたら、作物のボディガードになってもらいましょう。
アオムシ(モンシロチョウの幼虫)
モンシロチョウの幼虫はすさまじい勢いで葉を食害します。アブラナ科の野菜は最高の餌場になるため、モンシロチョウはこぞってタマゴを産み付けます。
チョウが飛ぶ時期には、ネットを被せ産卵を未然に防ぐことも有効な手段です。少量の水を入れたペットボトルと割りばしを用意し、幼虫を見つけ次第一匹ずつペットボトルへ落として捕殺します。
ネットをかけている方も油断せず、葉の様子を観察しましょう。
ヨトウムシ
ヨトウガという蛾の幼虫です。夜間に葉や実を食害することから「夜盗虫」という名がつきました。卵は0.6ミリほどで、葉の裏などに密集して産み付けられます。
葉の表が白っぽくなっていたら、卵がくっついているかもしれません。裏返して確認しましょう。卵があれば、その葉を一枚処分するか、その部位を切りとって確実に処分します。
ヨトウムシは米ぬかが好物です。トレーなどに米ぬかを盛り、風で飛散しない場所に設置しおびき寄せます。集まったヨトウムシはトラップごと捕殺し、畑の外で処分しましょう。
大根の収穫
青首ダイコンであれば地面から出ているダイコンの可食部直径が6~7センチに達し、
葉が横に広がっているかどうかで、収穫期を判断します。
収穫期が遅れると下記の3点のようなことが起こります。
- ダイコン内部が高温に負けて腐る(春まき大根を夏に収穫する場合に多い)
- スが入る(葉に栄養を吸われ、根に亀裂ができたり、穴が空いてスカスカになる。舌触りが極端に悪くなり味見が落ちる)
- とう立ちする(ダイコンの葉の中央に花蕾が形成されることを『とうが立つ』という。固くて食べられない)
もう少し大きくしてから……と思っていたら、食べられなくなることもあるので、注意しましょう。
終わりに-大根役者は褒め言葉-
今回はダイコンの栽培についてお話いたしました。
まるまると太ったダイコンの首に期待を膨らませ、葉の根元を掴んでぐぐっと引くと、一喜一憂が待っています。
思ったより長かった、または短かった、もしくはセクシーだった。艶めかしい「ダイコン足」に育っていても、切れば裏側も洗えます。
失敗も楽しんで、ぜひダイコン栽培に挑戦してみてくださいね。