青々とした葉が茂るビワの木はバラ科の果樹で、6月頃になると多くの実が収穫できる楽しみな庭木です。果実はオレンジ色で、大きな種が1つ中心にあり柔らかな果肉に包まれているフルーツですね。
ビワの木は比較的暖かい気候を好みますが、開花が12~2月と厳冬期となる少々特徴的な果樹になります。
果樹としての育て易さは比較的容易で、成長が早い果樹に挙げられます。低木としてどのくらいの大きさに成長させるか剪定が重要になり、庭のデザインに合わせた大きさに調整していきましょう。それでは、驚くほど多くの果実の収穫を期待できる「ビワの木」一緒に育てていきましょう!
ビワの木の育成条件
日当たり
非常に日光を好む果樹で風通しのよい場所を選びましょう。北西・北側の土地は適しておらず、収穫量も減少します。風通しが悪いと害虫が繁殖します。塀に囲まれている場所などは避けましょう。
北側に定植されたビワの木を見たことがありますが、収穫量は程々のようでした。しかし、毛虫がたくさん来てしまいました。また、葉が生い茂ることにより、ビワの木の周辺が薄暗くなってしまいます。
土壌酸度は中性~弱酸性で、水はけが良ければあまり土壌の心配は必要ありません。
株の選定と管理
ビワの木は食用した後の種を蒔くことで発芽します。季節は4~5月の暖かくなった頃が適時で、食用したビワの種から果肉を取り除いて良く洗います。定植する場所に、深さ3㎝程に種を植えて発芽を待ちます。
苗木はホームセンターや直売所で販売されています。3月頃になると販売されるので、4~5月に定植するとよいでしょう。
ビワの木の肥料・土壌準備
植え付けの場所を選ぶ際は「ビワの木の大きさをどれくらいにするのか」で選定しましょう。成長が著しい果樹なので、放置すると収穫が困難な高さに成長してしまいます。
専門農家ではないのだから、高い木のビワは管理が難しいです。脚立を使用すれば、2~3mなら手入れがしやすいと思います。袋かけや剪定を考えると低木がおすすめです。定植は日当たりのよい「東南~南西」で風通しのよい場所を決めましょう。決まったら土壌の準備です。
家庭でビワを育てる場合、肥料不足を心配するのは痩せた土地でなければ必要無いように思います。定植初期のころは堆肥や牛糞の有機肥料を株の周囲に穴を掘って与えます。
肥料を与える時期は、他の果樹と同じように株の負担を軽減する時期を選びます。収穫直後や冬季に与えるのがよいタイミングです。夏場は避けた方がよいです。肥料としては石灰と窒素分が重要になります。他にはリンやカリも不足しないようにしましょう。牡蠣殻石灰や発酵鶏糞は安価、臭いも気にならないのでおすすめです。
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ビワの木の剪定
ビワの木は直立に伸びていく性質があり、放っておくと手の届かない高木になってしまいます。適時剪定を行って、育てやすい高さにしていきましょう。高い場所で収穫ができずに、野鳥の集会場になっているビワの木を見かけることがあります。
品種によっても異なりますが、真っ直ぐに伸びていくビワの木を横に誘引していく必要があります。農家は収穫量を増やすために、高い所まで成長させる方法もあるようです。しかし、庭での露地栽培ではコンパクトな成長が良いと思います。
剪定の時期は、木に負担の軽い収穫後~9月が適しています。さらに雨が少ない季節がよいでしょう。ビワの剪定は一度に一気に剪定するのではありません。切り取ってしまった枝葉から再び実がなるまで数年かかることもあります。少しずつ形を整えながら適時行うようにしましょう。
「間引き剪定という手法」ビワの木は内部が込み合う成長の仕方をします。このままでは心部に充分な日光が届きません。木の内部の込み合った枝を切っていきます。その際に注意が必要なのは、ビワの木は枝の先端に実がなります。木の全体の先端だけ切って形を整えるとどうなるでしょうか?実が思ったよりも着かなくなってしまいます
内部の込み入った枝や古い枝、小枝や枯れ枝を剪定して、内部に日光が当たるようにしましょう。
病害虫について
簡単そうに見えるビワの栽培ですが、成長が早いので剪定が必要です。そして、病害虫対策も手がかかります。
ガの幼虫は果実に穴をあけて中を食べてしまいます。カミキリムシは木の幹を食害します。果実は傷がつきやすく袋かけをおすすめします。家庭で育てるビワは見た目が良くなくても美味しければいいのですが、プロの育てるビワは農薬を使用します。
強風も果実の落下につながります。5~6月の収穫なので台風の心配は少ないのですが、春先に吹く強風「春一番」も落下の原因になります。
ビワの摘房の方法
隔年結果しやすいビワの木は、着果量を制限しなければなりません。花房全体から3割ほど減らすイメージです。10月下旬頃に摘房を行います。
どこを摘房するか?品種にもよりますが花房を摘房します。おおよそ3割程を切り取って着果制限をします。毎年一定の収穫量を期待するなら必要な作業です。
ビワの摘果
ビワは傷がつきやすい果物です。袋かけを3月下旬~4月初めに行います。その際に摘果を行います。
ビワの果実は摘果をすることによって大きく成長します。摘果をしないと品種にもよりますが40g前後の収穫になります。一方で摘果を行うと80g~100gまで大きく成長します。
しかし、摘果をしたから糖度の高いビワに育つわけではありません。小さなビワをたくさん収穫する方法もあります。一度どちらが良いか試してみるといいですね。全てに袋かけをするなら、手間を考えると摘果した方が楽な気もします。
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ビワのネットかけ
袋かけが終わりましたら木全体にネットをかけましょう。強風で袋が飛ばされるのを防ぐ効果があります。
先ほど、野鳥の集会場と言いましたがネットが効果を発揮します。ビワの実はカラスが狙いに来ます。袋をかけていても狙ってきます。
そこで、ネットをかけますが、あまり目が細かくなくてもよいです。(10㎝は細かい)くちばしが挟まって逃げられなくなってしまいます。駆除が目的でなく、寄せ付けないが目的です。
収穫時期について
品種にもよりますが、5月~6月が収穫の時期です。暖かい地方を好むビワなので、寒冷地に行くほど収穫の時期は後にづれ込みます。
大変傷みやすい果実なので、袋ごと丁寧に収穫しましょう。庭で育てる果実のメリットとして、傷みやすいビワはとても適した果樹です。収穫後新鮮なうちにいただくことができます。個人的には、収穫後2~3日経過して、多少熟した果実の方が剥きやすく美味しいように思います。
一気にたくさんのビワが収穫されます。保存は冷蔵庫で数日、置いた下の面から徐々に傷んできます。知り合いに直接届けてあげるとよいでしょう。送付は厳しい扱いにくい果物です。
おわりに
ビワの木の育て方を解説してきましたがいかがでしたか?日当たり大好きのビワを庭で育てる楽しみを、皆さんに実体験していただきたいです。成長が早いので剪定は大変ですが、自分の理想とする形に整え易い庭木でもあります。
冬の開花期や夏の青々とした生命力溢れる葉は、庭のインパクトともなります。土質も選ばず、肥料も気にしないで済む手軽な果樹栽培です。
摘果や花の管理をしっかり行えば隔年結果も安定するので、コツを掴めば毎年繰り返しの作業なので苦になりません。
美味しくて甘いビワの実を、毎年5~6月にたくさん実らせる果樹栽培を行ってみませんか?市販されているビワの実よりも、完熟した甘さのビワの実を毎年堪能できますよ!