秋に植える花

チューリップの球根からの育て方!栽培時期や花が咲いた後の手入れ・病害虫の対策など

チューリップの球根からの育て方!栽培時期や花が咲いた後の手入れ・病害虫の対策など

チューリップは春を代表する、なじみ深い花のひとつ。すっと伸びた茎の頂点に咲く色とりどりの花弁には、いかにも春の花らしい鮮やかさと柔らかさがあり、園芸でも人気があります。

庭を彩るチューリップを育てて、にぎやかな春を迎えてみるのはいかがでしょう。

チューリップの育成条件と栽培時期

チューリップの育成条件と栽培時期
チューリップの育成条件

日当り:日なた
土壌酸度:中性
植え付け:地植えなら間隔5~10cm、深さ5~10cm。鉢植えなら間隔2~5cm、深さ3~7cm

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植え付けと発芽までの管理

植え付けと発芽までの管理

チューリップは丈夫で育てやすいのが長所のひとつで、適切な時期に健康な球根を植えつければほぼ開花してくれます。

植え付けの時期は10月~11月。風通しと日当りのいい場所を選びましょう。植えるときの深さは球根の高さの2~3倍程度の深さが必要ですが、霜が降りない地域では浅めに植えてもOKです。ただし地温の上がりすぎも良くないので注意しましょう。

植え付けの作業自体はシンプルです。移植ベラなどで掘っておいた穴に球根の上側をしっかり上に向けたまま入れ込み、土をかぶせてあげればそれで完了となります。

地植えの場合は植え付けの間隔を5~10cmほどにとります。鉢植えであれば過密になり過ぎないよう気をつける必要がありますが、一鉢に一本ではちょっとさみしい感じになります。鉢と品種ごとの花の大きさに応じ、2~5本程度が華やかでいいでしょう。

チューリップの葉の向きを揃える方法

チューリップの葉の向きを揃える方法

チューリップの球根を横から見ると、ふくらんでいる部分と平らな部分があるのが分かります。そしてこの平らな面の下の部分が「へそ」と言われる、球根と茎の接点です。

チューリップを植えるときはこの「へそ」の向きを揃えることで葉が出る方向を揃えることができます。球根を上から見たとき、葉は「へそ」とその反対側を結ぶ対角線に対し、左右に垂直に出揃うことになります。

花壇などに植える場合、主に見る方向を正面としてそちらにへそを向けるように植えると見栄えも良くなります。

簡単な「つっこみ植え」

地植えの場合はひとつひとつに穴を掘ってあげなくても、「つっこみ植え」で済ませることもできます。これは書いて字のとおり、球根を土の中に直接つっこんであげる方法。大量に植えるような場合はこのやり方のほうが楽です。

ただし、植える場所の土はやわらかく耕しておきましょう。それさえ準備できたら、あとは間隔と向きを確かめながら土の中に直接球根を押し込んでいくだけ。5、6cmの深さに押し込んで、全て終わったら表面の土を平らにならしてあげます。

チューリップの土作り


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チューリップを地植えにする場合、無肥料でも花は咲きますが、元肥を入れておくことで元気な花になり、また球根を太らせることができます。

植え付けの1ヶ月前には苦土石灰を混ぜ込んで酸性を中和しておきます。その後2週間くらいしたら腐葉土や完熟堆肥などを用土の2~3割ほど混ぜ込んで、30cmほどの深さまで耕しておきましょう。

もともと花を咲かせるための養分は球根の中に入っているので、肥料のあげすぎは禁物です。あまり多く肥料を与えすぎると球根が腐ってしまう場合もあるので気をつけましょう。

鉢植えの場合は市販の培養土で問題ありません。最近ではチューリップ用の土も売られているので、それを利用してもいいでしょう。

肥料を混ぜ込む場合はゆっくり効果を発揮するタイプ(緩効性)のものを植え付け前に混ぜ込んでおきます。

チューリップの特性

チューリップの特性

チューリップは一定期間の寒さ(4~9℃)に当たらないと発芽しないという性質があります。地植えであれ鉢植えであれ、冬の間は日当りのいい戸外でしっかり球根が寒さにあたるようにしましょう。

鉢植えの場合は鉢ごと地面に埋め込んでおくのも手です。
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チューリップの水やり

チューリップの球根は、地中で根を伸ばすために適度な水分を必要とします。春になるまで雪に覆われるような環境であれば水分が途切れることはありませんが、鉢植えやプランターで育てる場合など、あまりに土が乾燥してしまうと発芽に悪影響を及ぼします。

土が乾いているようであれば多めに水やりをしてあげましょう。ただし多湿すぎても球根が腐る原因になるので月に2~3回程度の頻度で確認します。

また、地植えで雪も降らない地域であれば、ワラで覆っておくのも乾燥を防ぐ手段の一つです。

追肥(おいごえ)


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土作りの項で書いたとおり、チューリップは肥料がなくとも花を咲かせることができます。元肥ありで土作りをした場合、追肥をするかどうかはほぼ好みのレベルとなります。

追肥もしたほうが開花が早く、また花も大きくなりやすいので手間をかけられる場合はやってみて損はないでしょう。

追肥をするタイミングとしては発芽の直後からとなります。与え方は水で薄めた液肥を月に1~2回のペースで与えてください。これもやりすぎは禁物です。

発芽した後の栽培管理

チューリップの発芽した後の栽培管理

発芽がはじまったら健康に育つように、よく日光に当ててあげましょう。鉢植えの場合は移動できるので日当りの確保は簡単ですが、地植えの場合は最初から植える場所を選んでおく必要があります。

発芽後に霜に当たると芽が縮んで生育が悪くなってしまいますので、霜が降りそうなときは寒冷紗やビニールで覆ってあげましょう。

また、開花直前にはつぼみが膨らんで色づいてきますが、鉢植えならばこの時点で半日陰に移動させておくことをおすすめします。ずっと日なたにおいておくと一気に花が咲いてしまいますので、そのぶん花を楽しめる期間が短くなってしまうからです。

開花から球根の掘り起こしまで

チューリップの球根からの育て方!栽培時期や花が咲いた後の手入れ・病害虫の対策など

チューリップが開花しているのはだいたい1週間~2週間ほどです。同じ品種を同時期に植えつけると一斉に開花し、見ごろも一斉に終わってしまうのでいくつかの品種を分けて植えるとよいでしょう。きれいに咲いたチューリップを楽しんだ後は、早速来年の春に備えて新しい球根のケアに移ります。

一般的にチューリップは1年目はよく咲きますが2年目以降の球根はうまく肥大せず、植えなおしても花が咲かないことも多々あります。そのため、毎年確実に咲かせたいと言う場合は市販の球根を買い求めたほうが確実ではあります。

しかし球根に栄養をうまく蓄えさせる方法が分かっていれば、自前でどんどん分球させ、毎年咲かせることも不可能ではありません。ここではその方法を紹介していきます。

チューリップの球根の掘り起こし
  1. 花がまだ元気なうちにハサミではなく手で摘み取る。花を摘むことで栄養が球根にまわるようになる。落ちた花弁は取り除いておく。
  2. 茎や葉が黄色くしおれてくるのを待つ。葉が緑色をしている間は水やりをする。
  3. ためし掘りをして、球根の外側が茶色くなり始めていたら掘り取りのタイミング。白い場合はもう少し待ってからにするが、遅くなりすぎると黒く変色して腐敗の原因となるため注意。
  4. 球根に傷をつけないよう掘り取って、土を落とす。そのまま日の当たらない風通しのいい場所で乾燥させる。
  5. 乾燥したら小さい球は取り外し、茎と根も取り除く。
  6. 小量ならばネットなどに入れ、風通しのよい日陰に吊るして次の植え付けまで保管しておく。

※切り取った花は屋内で花瓶などに活けると、しばらくの間楽しめます

チューリップがかかりやすい病気:球根腐敗病


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球根腐敗病は読んで字の通り、菌による球根の腐敗が原因の病気です。開花直前でしおれはじめ、短時間で枯れてしまうという症状があります。発病した株は捨ててしまうしかありません。

また薬剤などで防除することも難しいので、できるだけ元気な球根を選ぶ、植え付け前の球根自体を消毒する、土壌を消毒すると言った方法で予防に努めます。

消毒には病原菌に高い予防効果のある「ベンレート水和剤」などを用います。

おわりに

品種の数がバラについで多いと言われてるチューリップは、春の花壇をアレンジするのにぴったり。また、その丈夫さから、球根植物の育て方を体感するにもうってつけの存在と言えます。

地植えで育てても鉢植えで育てても、自分で咲かせてあげたお花を観賞する喜びはひとしおです。秋の植え付けに備えて、いまから計画を立てて見てはいかがでしょう。



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