唐辛子に似た外見から「辛いのかな?」との認識をお持ちかもしれませんが、「ししとう」は辛くありません。先端が獅子の頭に似ていることからこの名前になったとのこと。
栄養素としてはビタミンCを多く含むので、夏の暑さにバテ気味の方に食欲増進の効果があります。原産は中南米の野菜で、熟すと唐辛子やピーマンのように赤身になりますが、通常は熟する前の緑色の実を収穫します。
ピーマンはどちらかというと育成が簡単な野菜ですが、ししとうはさらに育てるのが簡単な野菜で、初心者の方も多くの収穫が望めるでしょう。
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ししとうの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
土壌酸度:中性
植えつけ:株間40㎝~50㎝前後
栽培期間:4月下旬(植え付け)~7月~8月下旬(収穫)
ししとうの種まき・苗の管理
種からの育成も可能ですが、発芽温度が25℃と高いやっかいな野菜です。4月下旬ではハウス栽培だけでの発芽育成が困難です。初めての栽培なら苗からの育成が良いでしょう。
気温が暖かくなったからといって、4月上旬に植えつけるのは止めておきましょう。4月上旬は朝晩の冷え込みや、雨天時の気温低下などがあります。せっかく植えつけた苗の今後の生育が悪くなってしまいます。
苗はホームセンターや直売所で1株100円前後の購入ができます。野菜の苗全般に言える事ですが、植え付けの時期を逃すと販売もされなくなり、春先に販売され始めたからといって、購入・植え付けをすると早すぎる場合があります。植え付けにも適齢時期があるので守りましょう。
ししとうの定植適期
気温が安定する5月上旬が良いでしょう。連休前後の良く晴れた午前中が狙い目です。この時期になると、店頭での販売される量も多くなります。
ししとうの定植時期は焦る必要がありません。1~2週間の遅れは取り戻せるくらい苗の発育は早いです。それより、定植時期が早すぎて温度が安定しない低温状態の方が良くありません。暖かくなっても苗が元気になることはありません。収穫も期待できなくなります。
ししとう栽培の土作り
定植の1週間前までに土の準備をしておきましょう。
春先の野菜作りは、冬の間に土が固くなっているので、充分な空気を含ませるよう掘り起こしが大切です。病害虫の予防にもなります。
- 堆肥:2~3㎏
- 化成肥料:100g握
ししとうは元肥がしっかりしていれば、追肥の必要性の低い野菜です。長期間の収穫になるようなら2~3回追肥を行えば充分です。
肥料が少ないと、辛いししとうに育ちます。収穫しながら追肥のタイミングを考えていきましょう。
支柱たてと敷き藁
定植の頃の苗は、まだ枝も細く弱い状態です。支柱を立てて枝折れを予防しましょう。枝と支柱はヒモで結びます。枝葉は思いのほか太く成長するので、麻ヒモを8の字にします。それぞれの穴に枝と支柱を通して余裕を持たせて結びます。これなら、成長しても枝が締め付けられることはありません。
ししとうは乾燥に弱い野菜です。敷き藁やポリマルチを行いましょう。雑草予防にはポリマルチが便利です。敷き藁も乾燥予防や雨水の跳ねを防ぎます。
支柱は高めの物を用意しましょう(1mくらい)思いのほか苗は大きく育ちます。大きく育つということは風の影響を茎で支えることになります。支柱を活用して茎が折れるのを防ぎましょう。
台風接近に備えて支柱も頑丈に補強しておきましょう。1本立ち支柱でも良いのですが、横の支柱との連携や端に補強用の支柱を立てるなどするとなおよいでしょう。
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定植のポイント
定植は株間40㎝~50㎝で植えつけます。苗を購入したら、水の入ったバケツに苗をポットごと入れて充分に水分を含ませます。
水分を切って、鉢土を壊さないようポットから引き抜き定植します。ピーマンと同じようにししとうも浅植えにします。
水分不足を防止するためにも、鉢と植え付け穴に充分水をあげておきましょう。植え付け後も水をたくさんあげます。
ししとうの特性
植え付けが上手くいけば次々に開花して結実していきます。1株あればかなりの量を収穫できるので、育てていて楽しい夏野菜です。
枝が太く育っても思いのほか弱いのがししとうの特徴です。縦に枝が割れてしまいます。収穫や枝の手入れで畑に踏み込むときに注意が必要です。1枝割れてしまうと収穫が激減してしまいます。
台風の風雨にも注意が必要です。苗を支柱への結び付けが弱いと倒れてしまいます。支柱の補強が弱いと、ししとうの苗が軒並み倒されます。
ししとうの水やりについて
乾燥に弱い野菜です。乾燥しないよう水やりは1日1回。梅雨明け夏本番になったら朝夕で2回あげましょう。水切れはししとうの形状にも影響します。縮んだようなししとうができてしまいます。
水やりを繰り返すうちに表土が流れてしまいます。もともと浅植えなので、株が倒れる原因にもなります。表土が少なくなるようなら土寄せを行いましょう。
乾燥に弱いししとうなのでポリマルチや敷き藁が効果を発揮します。植え付け前にポリマルチを施しておきましょう。春先は土の温度も高められ、苗の生育にも良い影響となります。
ししとうの栽培管理
病虫害が少ない育てやすい夏野菜です。開花も次々に始まり、どんどん結実もするので枝の剪定・腋芽摘みなどの必要性はそれほど感じません。
日当たりが大切です。同じような畑の場所に植えても、家庭菜園の畑では日当たりにバラつきがでます。栽培野菜を上手く組み合わせて、日照管理も行いましょう。ししとうは日当たりのよい場所に植えつけましょう。
追肥については、栽培期間が長くなると肥料切れになります。2~3週間ごとに1回1株当たり100gの化成肥料と土を混ぜて土寄せしましょう。
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病害虫について
致命的な病害虫は少ない野菜なので、農薬は使わなくても育ちます。
アブラムシが付くこともあります。アブラムシは光物を嫌う特徴があるので「きらきらテープ」を貼ったり、シルバーポリマルチの活用も検討しましょう。基本的に病害虫の心配は考えづらい野菜です。
ししとうはナス科の植物になるので連作障害があります。3~4年ほどは、同じ場所でのししとうやナス科の植物の連作は止めておきましょう。
ししとうの収穫時期
開花から約2週間で、果実が6~7㎝位に成長したら収穫です。とり遅れると固くなったりするので美味しくありません。つやも悪くなります。
収穫の時にはハサミを使用します。手で無理に収穫すると、枝が縦に割れてしまうことがあります。畑に踏み込むときにも枝を折らないよう注意しましょう。
おわりに
ししとうの育て方について、土づくりから収穫までご説明しましたがいかがでしたか?
ピーマンと同様に茎が弱い特徴があります。生育と収穫の時期は7月~8月になり、台風シーズンの最中になります。支柱の骨組みもしっかり組んでおきましょう。補強も大切です。
苗はホームセンターや直売所で購入しましょう。手ごろな金額で手に入るのでうれしいですね。4月頃から販売が始まりますが、植え付けは5月に入ってからでも遅くありません。苗からの栽培に慣れてきたら、種からの発芽で育ててみましょう。種の値段の方が安いのでコスト低減が可能となります。
「ししとう」は油で炒めたり、揚げたりするとさらに美味しくなります。油との相性が良い野菜です。炭火で焼いて生姜醤油で美味しくいただけます。夏野菜を育てるなら、1苗加えて頂きたいのがししとうです。作りやすく収穫も多いので、育てていて楽しい夏野菜です。