日本最古の香辛料とも言われている山椒。その爽やかな香りや辛みは、添え物や薬味など、料理を引き立たせる脇役として大活躍です。
また、防腐・殺菌・消臭作用もあることから、保存食を作る際にも多く使われています。
今回は、山椒の育て方をお話したいと思います。
Contents
山椒の育成条件と栽培時期
日当たり:日なた・半日陰
用途:地植え・鉢植え
耐暑性:やや強い
耐寒性:強い
耐陰性:やや強い
樹高:2~5m
山椒の植え方
山椒は鉢植え、地植え共に栽培が可能です。
種から植える
種から植える場合は、「秋まき」と「春まき」があります。秋まきは、10月頃に山椒から採取した種を用意した土に撒いて、1~2㎝くらい土をかぶせ、乾燥に注意しながら管理を続けると、春に芽が出てきます。
春まきは、秋に採取した種を植え付けまで乾燥しないように保存し、春に植えることを指します。
どちらかというと、春まきが一般的です。種まきから始めた場合は収穫までに3~4年の歳月が必要になります。
苗木から植える
苗木を植える適期は12~3月です。ただし、厳寒期は苗に負担がかかるので避けるようにしてください。
また、山椒の根はとても弱いので植え替えをすることはできませんので、注意が必要です。苗木を選ぶ時のポイントは、元気で幹がしっかりしているものを選ぶこと。
鉢植えの場合は、7号以上の大きさのある鉢に鉢底石と用土を入れ、植え付けを行います。地植えの場合は、苗木よりも一回り大きな植え穴を作り植え付けをしましょう。
いずれの場合も、根に付いている土を崩さないように注意してください。収穫までには2年以上の歳月が必要です。
種まきや苗木から山椒を育てるにあたり、一番注意するべきことは、実をつけるために雄と雌の株を用意することです。ただし、目視だけでは雄と雌の見分けをつけることはできません。
ガーデニング初心者であれば、朝倉山椒のような雄雌同株の品種を選ぶようにしましょう。市場には、種よりも苗木の方が多く流通しているようです。収穫までの歳月を考えても苗木から育てる方が良さそうです。
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山椒の栽培適地・植え付け
山椒の栽培に適しているのは、程良く日光が当たる場所です。強い西日が当たるような場所は避けるようにしましょう。耐陰性もあるので、半日陰でも育てることができます。
また、耐寒性も強いので、防寒をする必要も特にありません。日本では、北海道の暖かい地域より南で栽培をすることができます。半日陰の適度に湿度がある場所がベストです。
山椒の土作り
【タキイ 花と野菜の土】
自作する時は、赤玉土・腐葉土・川砂を5:4:1の割合で混ぜたものを使います。
市販されているものを使用するのであれば、花草用の培養土に腐葉土と堆肥を混ぜてください。
山椒の水やり
鉢植えの場合
根が浅い場所にはるのが特徴の山椒。そのため、水が不足しやすいので特に夏の乾燥には注意が必要です。
土の表面が乾いてきたら、たっぷり水やりを行いましょう。乾燥と多湿を避けるようにして管理を行ってください。
地植えの場合
特に水やりの必要はありません。
可能であれば、根元に藁を敷いてあげると乾燥対策になります。
山椒の肥料
肥料は、落葉期の冬(1~2月)に与える程度で充分です。山椒の株の周辺に、20㎝くらいの深さの溝を作り、油粕をまいておきましょう。
実の収穫した後に株が弱っている場合など、元気がないと感じた時は適宜油かすを与えてください。
山椒の栽培管理
剪定
剪定は12~3月が適しています。
そのまま放置しておいても、ある程度まとまった樹形で育っていきますが、混み合ったり絡まったりしている枝や伸びすぎている枝は切りましょう。
植え替え
山椒は、根が弱いので基本的には植え替えを嫌います。スペースが充分確保されているのであれば、地植えの場合は植え替えを行う必要はありません。
鉢植えの場合は、根詰まりを防止するために2~3年に1回の割合で行いましょう。
山椒の木よりも1~2まわり大きな鉢を用意して、根の周りについている土を極力動かさずに、新しい鉢に移動してください。手順は、植え付けの時と同様です。
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山椒に発生しやすい害虫と害虫病
白絹病
カビが原因となる病気で、湿度が高くなると発生しやすくなります。山椒の根元に、白い絹のようなものが出てきます。
この病気は治療方法がないので、発病したらすぐに株ごと抜き取って処分してください。多湿を避け、適度な湿度を保つようにすることが山椒栽培のポイントです。
アゲハチョウの幼虫
体が大きく、食欲が旺盛で一晩で葉を食べ尽くしてしまうこともある害虫です。
見つけたらすぐに取り除くようにしましょう。
アゲハチョウの卵を産み付けられないようにするためには、防虫ネットが効果的です。
山椒の収穫時期と調理方法
山椒の収穫時期は、その部位や用途によって異なります。
以下を参考にしてください。
花の調理方法
3月から5月にかけて、小さくて黄色い花を咲かせます。
塩漬けや酢漬け、醤油煮などにすることができます。
新芽の調理方法
「木の芽」とも呼ばれ、4月から5月にかけて収穫することができます。乾燥していないみずみずしいものを選びましょう。
収穫した木の芽は形と色がとても綺麗なので、おすましや炊き込みご飯、寿司などの和食の添え物として使われます。
また、小さく刻んで味噌などに混ぜ込むことによって、薬味の役割も果たします。一般家庭では、タッパーなどに入れた木の芽の上に、水に濡らしたキッチンペーパーをかぶせ、ラップをして傷まないようにして保存しておきます。
実山椒・青山椒の調理方法
梅雨入りの6月頃に収穫できる山椒の実を、実山椒または青山椒と呼びます。
この時期の実は、豊かな香りと柔らかい種、強い辛味が特徴で、塩漬けやちりめん山椒、佃煮などで幅広く使われています。料理で使う場合は、下処理が必要となります。
- 実山椒(青山椒)の枝から実を外す
- 流水で実の汚れを落とす
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩をひとつまみ入れて実を投入
- 再沸騰し、1~2分くらい経過したらザルに上げる
(ゆで時間は実の量にもよります。指で実を押して軽くつぶれる位が丁度良いとされています。) - 2時間から一晩水につけてアクを抜く(水は数回取り替えること)
- アクが抜けたザルに移して水を切り、キッチンペーパーなどでしっかり水分を拭き取る
- すぐに使用しない時は、冷凍庫で保存(1年間保存が可能)
山椒の実の収穫と調理方法
10月頃になると、茶色に熟した実を収穫することができます。この時期の収穫は、トゲなどがあるので手袋をして行いましょう。
収穫した実は、ウナギや蒲焼きなどでもよく使われている粉山椒にすることができます。
山椒の増やし方
種まき・挿し木・接ぎ木で増やすことができます。種まきは植え付けと手順は同様です。また、接ぎ木は難しいので挿し木の方が成功率が高くなるでしょう。
挿し木の適期は6月または9~10月頃。前年度に成長した枝を挿し穂として10~15㎝くらい切り取り、上部の2~3枚の葉だけを残すようにします。斜めに切断した切り口を水に1時間程浸し(発根剤が入っていれば尚可)、バーミキュライトなどに指して日陰で管理して下さい。
乾燥しないように水を与え、新芽が出たら鉢に植え替えて、少しずつ日光に当たる頻度を増やしていきます。
おわりに
山椒の植え付けから収穫に至るまでをご紹介しました。
花・新芽・実(2回)と年に4回も収穫時期があり、それぞれに使い道がある植物もなかなか珍しいのではないでしょうか。
植え付けをしてから、収穫するまでに少し時間が必要になることや、栽培の手間が多く繊細なことから、山椒の栽培は難易度が少々高いとされています。
観葉植物としても楽しめるので、ゆったりとした気持ちで気長に育ててみると良いかもしれませんね。