かつて最も辛いトウガラシとして数多くの商品を世に送り出したハバネロは、トウガラシの中でも最も有名な品種と言っても過言ではないでしょう。
現在ではもっと辛い品種が新しく生まれていますが、ハバネロという名前にこめられた辛さのブランド力は、いまだに揺るぎません。
元は南米出身の品種ですが、日本で育てる場合は夏野菜の感覚で育てればOK。もともとナス科の植物なので、育て方はナスやピーマンと似ています。ぜひ、チャレンジしてみましょう。
Contents
ハバネロの育成条件と栽培時期
- 植え付け:4月下旬~5月下旬
- 収穫時期:7月中旬~9月下旬
※タネから育てる場合は3月下旬~4月中旬くらいにタネまきし、1ヶ月ほど育苗する
- 日当り:日なた
- 土壌酸度:中性~弱酸性
- 植え付け:地植えなら株間60~80cm・鉢植えなら24cm以上の鉢に1本
ハバネロの育苗
ハバネロの苗はそれほど取り扱いが多くはないので、通信販売などでタネを購入してから育苗するのが手っ取り早い方法です。
タネをまくのは夜間も含めて気温が20℃以上をキープできる時期が望ましいとされています。また、発芽率が悪いので多目にまいたほうが良いでしょう。
最近では土やポットが同梱されているハバネロの栽培セットというものもあり、そちらはタネまきから収穫まで1つのポットで行うことが可能です。
- まず育苗用の皿と、タネのベッドとなるスポンジを用意します。水をはった皿にスポンジを置き、日光の当たらない、温かい場所で発芽させます。
- ひとつのスポンジに1粒ずつタネをまきます。乾燥は厳禁です。皿には常に水が入っているようにしてください。温度にもよりますが発芽~子葉が開くまで2~3週間ほどかかります。
- 本葉が3~4枚くらいになったら根を傷つけないように育苗ポットへ移し変えます。移植後は水のやりすぎに注意してください。午前中に水やりし、夕方には乾きかけるくらいの量にしましょう。
- 本葉7~8枚になったら植木鉢や庭に植えつけることができます。
ハバネロの栽培環境
ハバネロは一本だけ栽培するならば鉢植えでもかまいませんが、地植えで育てる場合は畑の環境を整えておきましょう。
ちなみに一本あたり20~30個くらい、多ければ40個を超える収穫が見込めます。大量に育てる場合は用途も考えておいたほうが良いかもしれません。
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育てる場所
熱帯の植物ということもあり、ハバネロの栽培には日当りの良さが重要です。日光がよく当たる場所に畑を準備しましょう。また、過湿に強いと言うわけでもないので水はけの良さも確保したいところです。
また、ハバネロはナス科の植物ですので連作障害が出やすい傾向にあります。トマトやナス、ピーマンを育てていた場所に植える場合は2年以上あけてからが良いでしょう。
もちろん鉢植えの場合でも日当りのいい場所で育てましょう。
ハバネロの土作り
鉢植えの場合、市販されている野菜・花用の土で大丈夫です。水はけを良くするため、鉢の底には軽石や鉢底石を入れておきましょう。
地植えの場合、まずは酸度調整からはじめます。土をおこして苦土石灰を混ぜ込み、酸性を中和してください。土壌用のph測定器があると便利です。この作業は植え付ける2~3週間前には済ませましょう。
土壌の中和が済んだら、植え付けの1~2週間前には元肥を混ぜ込みます。元肥には緩効性肥料、化成肥料や油粕が適しています。またピーマンなどと同じく根の張りが浅いので、根をよく伸ばすように堆肥も入れましょう。
1㎡あたりの目安としては完熟堆肥3㎏、緩効性肥料100g、化成肥料60gとなります。
畝立て
特に高く畝を立てる必要はありませんので、高さは10cmほどの畝を立てます。畝の幅は1m~1.2mくらいが良いでしょう。
複数植える場合、株間は80cmくらいあける必要があります。乾燥防止と雑草抑制のためにマルチシートを引いても良いでしょう。
マルチシートには地温を高める効果もあり、ハバネロの生育をうながしてくれます。
定植のポイント
本葉が7~8枚くらいの時期が活性が高く、定植に適しています。あまり風のない日の午前中を選び、準備として育苗ポットにたっぷり水をあげておきましょう。
畑には育苗ポットの土ごと入るくらいの穴を開けておき、根を傷つけないようにポットを逆さにして、土ができるだけ落ちないように苗を取り出します。
植えつけるときは浅めに置き、畝の表面から少し盛り上げるようにして根元に土をかぶせます。
植え終わったら水をたっぷりとあげて下さい。また、後述する倒伏防止用の支柱をこの段階でさしておいても良いでしょう。
ハバネロの栽培管理
水やり
定植後は水やりの量が味を左右する要因となります。一般的に水が多すぎると果実に苦味がでやすく、少なめに育てると辛味が強くなるようです。
目安としては朝~午前中に与えた水が夕方には乾いている程度。育苗ポットに植え替えた後と同様です。花が咲いた後はもう少し少なめで、土が乾いたら水やりをするという感じにしましょう。
鉢植えで育てる場合は水切れしやすいので、直射日光が強い場所においておくときは土の乾燥に注意してください。明らかにしおれてしまっているような場合は明るいうちに水を補給しましょう。
追肥(おいごえ)
ハバネロは肥料を好む作物です。元肥だけでは不十分なので、定期的に追肥を行うようにしましょう。
与えるペースは定植したら2週間に1回、実がなり始めたら10日に1回くらいになります。
与える肥料はあまり選びませんが、チッソ分が多くないものの方が良いでしょう。液肥であれば規定量を、固形肥料であれば10g程度を株間にまいていきます。
倒伏対策
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ハバネロは草丈60cmくらい、生育がよければ1mに届くまで大きくなります。そうなると根が浅いこともあり、風などで倒伏してしまう危険性があるので支柱で支えるようにしましょう。
支柱をつける時期の目安は草丈30~40cmくらいになり、一番花がつくころです。使用するのは普通の園芸用支柱でOK。茎に寄り添うように深く、まっすぐに立てます。
支柱を立てたら次は茎と支柱を麻ヒモなどで固定します。とはいってもギチギチに結んでしまうと茎の成長に対応できないので、数字の「8」の字を描くようにゆるく結ぶようにしてください。支柱と固定するためのワイヤーなどももおススメです。
摘心・剪定
ハバネロの栽培で剪定は必須ではありませんが、より多くの実を収穫したい場合には成長過程で切り落としていったほうが良いでしょう。
まずは摘心ですが、草丈が60~70センチくらいに達したら頭頂部の生長点を切り落とします。これで草丈が伸びる代わりに横枝へ栄養が流れるようになります。
次に基本的な剪定ですが、小さな実がなり始めるころに下向きの葉や枝を落としておきます。これで風通しと日当りが良くなります。
本格的にやろうとお考えの場合は、定植後に根付いて葉が茂り始めたあたり(10~12枚程度)で強く太い幹を3本残して剪定しておきます。これによって開花数が増え、結果的に多くの実を収穫できます。なお、摘果する必要はありません。
受粉
これも必須の作業ではありません。自然受粉で十分実をつけ始めます。
もしやるならば、花が複数咲いている段階で株全体を少し揺らしてあげればOKです。
ハバネロの収穫
いよいよ収穫です。まず収穫時期の見極めですが、これは何と言っても果実の色が教えてくれます。
一応、実が青い段階でも収穫はできますが黄色からオレンジ~赤くなったころが収穫適期です。時期としては7月~9月くらいまで実がなり続けますので、結構な収穫量になります。
収穫時の取り扱いに注意!
そして何より気をつけなければならないのが収穫時の取り扱い。ご存知の通りハバネロはかつて「世界一辛い」と呼ばれたほど、刺激物(カプサイシン)の含有量が高いトウガラシです。
実の表面を素手で触る分にはあまり感じないかもしれませんが、その手で目や鼻、唇などを触ってしまわないようにしてください。非常に強いヒリヒリ感、痛みに長時間悩まされることになります。
なので収穫作業時は基本的に手袋必須と考えましょう。また誤って果実の汁がかからないように、ハサミを使って根元から慎重に切り取るようにすると良いでしょう。
収穫後の使い道
収穫後はオイル漬けにしたり酢に漬けて自家製タバスコを作ったりという用途がありますが、肉厚なせいで乾燥にはあまり向きません。
あまった場合は密閉袋やビンに入れて冷凍しても、使用時には十分すぎるほどの辛さを堪能できます。
なお、興味本位でも、たとえ微量であっても生の果実の汁をなめてみるという行為は推奨できません。もしもやるならば完全に自己責任で、大量の水を用意してからとだけアドバイスさせていただきます。
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ハバネロがかかりやすい病気・害虫
モザイク病
症状
ウイルス感染による病気で、葉の表面がモザイク模様のように濃淡のある病斑でおおわれます。
発生箇所は葉や茎からとなりますが、基本的に治療の手段がないため最終的には株全体に蔓延し、茎や葉の、果実の奇形や萎縮の原因となります。
原因と対策
カビなどの細菌による病気ではなく、アブラムシなどによってウイルスが媒介されて発症するケースが多いようです。収穫時の人間の手が媒介するケースもあるようです。
いずれにせよ発症後の対策方法はなく、アブラムシの駆除対策をしっかりするというのが最も現実的な予防対策となります。
アブラムシ
どんな植物にとってもアブラムシは害虫と言えますが、ハバネロも例外ではありません。果実の刺激は強いものの、茎や葉には刺激成分はありませんのでアブラムシの吸汁による被害をうけます。
上述したモザイク病のようなウィルス性の病気を運んでくることもあるので、しっかり対策したいところです。
対策は見つけ次第洗い流す、もしくはテープなどで捕殺します。酢や牛乳スプレーなども効果があるとされていますが、確実な効果を期待するなら薬剤スプレーを使いましょう。成分を気にする場合は食品成分由来のスプレーなどもあります。
おわりに
日本ではまだまだ栽培されていないハバネロですが、特に暑い地域でならば育てるのはそれほど難しくないといえます。
基本的にピーマンの栽培と似ているところが多いですね。収穫時と収穫後は危険物を取り扱うくらいの注意が必要ですが・・・
なんにせよ家庭ではハバネロをどう利用していくかが課題と言えそうです。激辛料理好きの方はぜひ試して見てはどうでしょう!