冬といえば、こたつで食べるみかんがないと寂しいと感じる日本人は多いのではないでしょうか。庭先で美味しいみかんが毎年穫れたら、どんなに嬉しいことでしょう。
ビタミンCも豊富なことから、風邪の予防にもなると言われるほど冬に欠かせない果物「みかん」はどのようにして育てるのでしょうか。
今回は、みかんの苗木の育成から収穫までの育て方、栽培時期や剪定、病気と害虫の対策までご紹介していこうと思います。
Contents
みかんの栽培時期と育成条件
植えつけ時期:3月中旬~4月中旬
収穫期:9月下旬~12月(品種によって異なる)
植え付けから収穫まで:5~6年(栽培育成方法によっても異なる)
⽇当たり:⽇なた
育成適温:15~18℃
樹高:小高木~低木 1.5~2.5m
植え付け:苗木から
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苗木の育成
みかんを育てる場合は、種からではなく、苗木を購入して育てるのが一般的です。
まずは、鉢で苗木を十分に育成してから、定植させるため、この苗木の鉢植えもとても重要です。
植え付けに適した時期
みかんを植え付けるのに適した時期は3月中旬から4月中旬です。秋からよく春にかけて、接ぎ木苗が良く販売されていますが、温かい環境のほうが生育が良いことを考えると春に植え付けるようにしましょう。
通気性の良い培養土を使う
苗木を鉢植えにするときに大切なのは、通気性の良い培養土をするということです。接ぎ木の部分から60cm程度の高さで切り、1m~2mの支柱に誘因するようにします。
風が遮断できる温かい場所で
鉢に植え付けた後は、できる限り風を遮断でき、気温の高い場所で育てるようにします。木の幹がまっすぐになるように支柱と括り付けるようにしましょう。
摘芯(ピンチ)を行う
芽かきを行い、150cmほどに成長したら、摘芯(ピンチ)を行います。摘芯を行うことで成長が促されるため、枝も増え、葉や花が多くつきやすくなります。
肥料
この時期にあげる肥料は、チッソを月1回、1本当たり1gです。ナメクジ、アゲハ、ミカンハモグリガといった害虫が付きやすいので、害虫にも気を付けるようにします。
植え付け翌年の管理
植え付けた翌年は、同じ鉢のまま側枝を育てていきます。同じ脇芽から2本以上枝が出ている場合は、長いもの1本だけを残すようにし、他はすべて芽かきします。
※誘因とは
支柱に紐で結び付けることです。まっすぐに苗木が伸びるように20~30㎝間隔で結び付けていきます。成長とともに木の幹が太くなるため少しゆとりを持たせて結ぶのがポイントです。
※芽かきとは
不要なわき芽を摘み取ってしまうことです。栄養の分散をなくし、風通しを良くすることにより、病気にならないようにするために行います。また芽かきを行うことでより必要な部分へ養分がいきわたるため、実が付きやすい環境を整える働きもあります。
みかんの定植のポイント
みかんは定植の翌年から実を付けるようになります。春枝の身長が止まり、本葉が葉を広げてしまったら、露地に定植するようにします。このときに土が崩れないように、大切に扱うようにしましょう。用心しながら鉢から抜き、苗木の場所を決め、定植させます。
このときに地植えする場所には、苗木の根が広がるように大きい穴を掘るようにします。苗木を固定したら、土を半分ほど埋め戻すようにし、水鉢ができるくらいたっぷりと水をあげましょう。水かしみ込んでしまってから、残りの土をかけ水をたっぷりとあげます。
土はしっかりとすきまなく入り込むように、棒などを使い根の間にしっかりと土が入るようにします。肥料は、定植してから1ヵ月ほど経ってから、木にかからないようパラパラとまくようにするのがポイントです。
みかんの品種と特性
みかんには様々な品種があり、その品種によっても特性に違いがあります。
熟期の早い「極早生温州」
早生温州よりも熟期が早く、いち早くスーパーなどに並ぶのがこの極早生温州です。
枝梢や節間が短く、葉は小さく密生するのが特徴です。結実しやすいために木が弱りやすいです。はじめにできた実ほど大きく、皮が薄く滑らかなものが多くなります。
台風にも強い「早生温州」
早生温州は、台風などに強いだけでなく、熟期も早く、実の収穫量が多いのが特徴です。
10月下旬から11月中旬までが収穫期で、結実しやすく、木も元気なので、極早生温州に比べると育てやすい傾向にあります。糖度が高く甘いみかんが早生温州の特徴です。
こたつにみかんの普通温州
冬にみかんを食べるイメージがありますが、あのこたつで食べるみかんが普通温州です。
品種によって10月下旬から収穫期を迎えるものもあります。ピークは12月下旬当たりまでになります。一般的に木も強く元気で、早生温州にくらべると実が少し大きいのが特徴です。
早生温州に比べると糖度が落ちるものの、品種によっては、糖度の高いものもあります。
比較的育てやすいみかんの品種
- 極早生温州みかん エヌワン: 極早生温州。酸味が少ない。あっさり。実つきがよい
- 宮川早生 温州みかん:早生温州:酸味・甘味ともに濃い。結実性が良く実つきもよい
- 石地温州みかん:普通温州早熟。糖度が高い。小袋が柔く食べやすい。
- 南柑20号:普通温州早熟。優良品種。小袋が薄く甘い。
- 愛媛中生温州みかん:普通温州早熟。酸味が少ない。甘い果汁がたっぷり。
- 南津海みかん:普通温州。樹勢が強い。実つきがよい。糖度が高い。皮が向きやすい。
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みかんの栽培管理
みかんの水やり
8月上旬から収穫期にかけては、少し乾いた状態にします。他の時期に関しては、土の水分はしっかりと保つようにたっぷりと水やりをするようにします。
気を付けておきたいのは収穫後です。収穫後は秋肥の吸収を促進し、光合成も促進させるためにたっぷりと水やりを行うようにしましょう。
肥料のあげ方
みかんを育てるうえで、肥料のあげ方にはいろいろな方法があります。
定植させてからは、3・6・9月に有機質肥料か速効性化成を与えるようにします。2年以下の苗木の場合は、粒状肥料を与えましょう。
また、苗木が弱っているように感じる場合は、液体肥料を説明書に従って薄めたものを株全体にかけるようにします。
摘果
株に多くの果実をつけると嬉しくなりますが、すべてそのままにしておくと、株に負担がかかってしまい、おいしい実にはなりません。まだ熟していない実をいくつか摘み取ることで、熟れるみかんの数を減らすようにすると、栄養が回りやすく、おいしいみかんができます。
7月~8月のまだ実が青いころに手やハサミを使って、余分な果実を摘み取るようにしましょう。果実を残す目安は、地植えの場合、葉っぱ20枚~30枚に1個の割合で残します。その場合には、色つやもよく、程よい大きさのものを選ぶのがポイントです。
実った果実の摘果を行わずにそのままにしておくと、翌年には実が付きにくくなってしまう隔年結果を起こしてしまいます。毎年安定した収穫を望むためにも摘果は必ず行うようにしたいですね。
剪定
みかんの木は、剪定をすることが大切です。
4年以上経過した樹形も出来上がっている木の場合は、日差しがきちんと当たることをイメージした間引きという意味合いでの剪定を行うようにします。
剪定時期:2~3月
剪定する枝の目安
・病害虫の被害にあった枝
・前年の秋に伸びた枝
・充実していない枝
・木の根元近くから伸びている枝
みかんの収穫時期と収穫方法
ミカンの収穫時期は、品種にもよりますが10月頃からになります。
早生のものは緑でも十分に甘さのあるみかんもありますが、オレンジ色に色づいたものを収穫するようにしましょう。
定植させた翌年の目安の収穫量は、1本あたり少なくとも5㎏は穫れるでしょう。
おわりに
みかんの育て方について紹介しました。苗木から育てるとはいえ、野菜などとは違い樹木になるので、育て方の違いに戸惑うこともあるでしょう。
なかなか実を付けるまでには月日がかかるので、楽しいと感じながら育てるのは難しいかもしれませんが、おいしいみかんが実をつけたときの喜びは、育てた人にしか味わえません。
がんばって、おいしいみかんを育ててくださいね。