長芋は山芋の一種です。山芋には他にも、ツクネイモ、ジネンジョ、イチョウイモなどがあります。
原産地が中国の長芋は、水分が多く粘り気が少し弱いことが特徴です。ネバネバ、サクサクとした食感で、サラダやとろろなど多くの料理で大活躍。
今回は、そんな長芋の植え付けから収穫までを説明していきたいと思います。
Contents
長芋の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 用途:地植え・鉢植え
- 育成適温:20~25℃
- 土壌酸度:アルカリ性(pH6.0~6.5)
- 耐寒性:強 耐暑性:強
- 植え付け:25~30㎝前後
- 連作障害:3年
長芋の土作り
長芋は成長するにしたがって、地中に向かって伸びていきます。そのため土を良く耕しておかないと真っ直ぐな良い形になりません。
深さのあるプランターなどで育てることもできますが、広さを確保できるなら地植えで育てる方が良いでしょう。
- 種芋などを植える半月前に苦土石灰を土に混ぜて弱酸性の土をつくる(1㎡に100g)
- 100㎝の深さ位までよく耕しておく
プランターを使用する時は、深さ30㎝幅70㎝以上の大型タイプを使用します。このプランター1つにつき、2株栽培することができます。
鉢で育てる時は、直径と深さ共に30㎝以上あるものを使用し、1株栽培することができます。
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長芋の畝立て
苦土石灰を入れて、1週間ほど土を寝かせたら、完熟牛ふん堆肥を土に混ぜて畝を作りましょう。
土をさらに良く耕して、畝幅80㎝・高さ15~20㎝くらいの畝を作ります。株間は30㎝くらい取るようにしましょう。
長芋の植え付け
長芋は連作をすると線虫(センチュウ)の被害が出やすくなるので、3年以上の連作は避けましょう。
植え付けをする時には、切りイモか子イモを種芋として用意します。
切りイモ
長芋を切って分けたものです。1個あたり100~150g位が適量です。
切ったらすぐに使用せずに、風通しの良い場所で20日くらい切り口を乾燥させてから使用します。
子イモ
ムカゴをそのまま使用します。長芋を育てていると、葉の付け根に球根がでてきます。この球根がムカゴです。
ムカゴは茹でたりして食べることもできます。ムカゴを種芋として使うには少々時間が必要になります。
収穫したムカゴを春になったら畑に植え(覆土3㎝)、秋まで育てて、翌年の春に種芋として使用します。店頭やネットでも長芋の種芋を購入することができます。
種芋が準備できたら早速植え付けをしましょう。
- 植え付け時期は、4月中旬から5月中旬
- 植え溝の上に種芋を植えて、5~6㎝の土をかぶせる
- 切りイモを植える時は、切り口が上を向くようにする
- ムカゴを使用した種芋を植える時は、土に対して横向きになるようにして植える
(この時、それぞれの向きを同じ方向にすることで、お互いを邪魔することなく成長することができます)
種芋の中には多くの水分が含まれているので、植え付けの時には、水やりの必要はありません。半月以上雨が降らない時は、水を与えるようにしてください。
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長芋の元肥・支柱立て
種芋を植えて半月から1ヶ月位したら、芽が出てきます。
芽が出ると次にツルが右巻に伸びてきます。ツルが日光を浴びて光合成をすることにより、イモに栄養が行き渡るようになっているので、充分日光が当たるよう2m位の支柱を用意してツルを誘導しましょう。
- 1箇所につき3本の支柱を用意
- 発芽した場所から20㎝くらい離れた所にそれぞれ支柱を立てる
- 上部で3本の支柱を麻ひもなどで結び固定する
支柱づくりと同時に、元肥を施しましょう。
植え付けの時期に元肥を与えないのは、種芋にしっかり栄養分がつまっているからです。元肥は化成肥料を適量与えてください。
長芋の追肥
長芋がどんどん成長して肥料の吸収が多くなる7月上旬から8月上旬に、1~2回行います。
追肥の時期が遅くなると、アクが作られるようになるので、確実にこの時期に行いましょう。
長芋の水やりについて
基本的に水やりは不要です。
雨が降らずに乾燥した状態が続く時は、水を与えましょう。
ムカゴについて
種芋に使うこともできるムカゴは、ツルが2~3m位伸びて、葉が沢山出てきた頃に葉と茎の根元に出てきます。
ムカゴの数が少なければ少ないほど、土の中にある長芋は大きく育ちます。
長芋を大きく育てたい時は、早めにムカゴを摘み取るようにします。この時地中では長芋の成長は盛んになり、それと同時に種芋は小さくなり消えていきます。
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長芋に発生しやすい害虫と害虫病
線虫(センチュウ)
連作すると増え続ける、0.3から1mm位の植物などの栄養を吸い取る害虫です。無色であるため、人の目で確認することができません。
土の中で上下に移動する特徴があり、農薬を散布しても駆除するのが難しいとされています。
微生物のバランスが崩れることが発生の原因とされているので、連作をしないことが何よりの予防策になります。
ナガイモコガ
ナガイモに寄生し、体長8~10mmの葉を食い荒らす害虫です。
薬剤散布や防虫ネットを張り予防します。
ハダニ
葉の裏に寄生し、栄養を吸い取る害虫です。放っておくと、植物全体が枯れてしまう可能性もでてきます。初期段階であれば、ガムテープなどで駆除することができます。
数が多くなった時は、薬剤を使用するか、勢いの強い水を吹きかけて退治しましょう。繁殖と成長の速度がとても速いので、どんどん増えていきます。
葉の裏に白い無数の傷を発見したら、ハダニがいると疑ってみましょう。
長芋の栽培管理
除草
除草剤を使用するか、こまめに手で取り除くようにします。
長芋の根を傷つけないように注意しましょう。
芽かき
複数の芽が出てきたら、元気そうなものだけを1本だけ残すようにして、残りは取り除きます。
摘心
1m位の高さまで成長してから行うようにしましょう。
摘心によってイモに栄養が行くようになりますが、誤って側枝を切ってしまうとイモが小さくなるので注意が必要です。
長芋の収穫時期と収穫方法
長芋の収穫時期は11~12月。葉や茎が次第に黄色くなりだし、枯れてきたら収穫です。
土から早く取り出してしまうと、ポリフェノールを多く含んでいるため調理をする際に、変色しやすくなります。長芋は地中に向かって深くのびているので、土を掘る時は長芋を傷つけないように注意してください。ポイントは、長芋にそって周辺の土をやさしく崩しながら掘ることです。
寒い地域で育てている場合は、全て収穫しましょう。暖かい地域で育てている場合は、そのまま畑で冬を越すことも可能です。
晴れの日が続き、土が湿っていない状態で収穫を行うと、長芋を取り出しやすくなります。収穫前には、支柱を全て取ってから行いましょう。
長芋の保存方法
天然貯蔵
収穫時期に土から取り出さずに、そのまま越冬させる方法です。
冬は休眠期に入るので、成熟した長芋の成長は止まります。比較的暖かい時期では、この方法が一番手間がかかりません。
天然貯蔵した長芋は、4月下旬までに必要に応じて土から取り出すようにしてください。
冷蔵庫で保存
土から取り出した長芋は、冷蔵庫で2ヶ月位貯蔵することが可能です。
保存適温は、2~5℃です。
おわりに
長芋の植え付けから収穫までをご紹介しました。
長芋のネバネバには、胃腸機能の回復や、消化や栄養の吸収を手助けする働きがあるとされています。また、鉄・カリウム・亜鉛などのミネラル、炭水化物、ビタミンB・Cが豊富に含まれており、滋養強壮の効果もあるので、ダイエット中の人にも大変人気の野菜です。
天然貯蔵ができるのであれば場所も取りませんし、栽培管理もさほど手間をかけなくても済むのでとても楽ではないでしょうか。
家庭菜園ではちょっと珍しい長芋の栽培ですが、ぜひチャレンジしてみてくださいね。